「訳の解らない症状」

今回は、ちょっと前回のコラムと共通部分を持っている事柄を書いてみようと思います。

今日、十年ぶりくらいの患者さんが来院されました。「何軒か行ってみたんだけれど、やっぱりこれは先生のところしかないと思ってきました。」と、とっても嬉しい事を言ってくださったのですが、症状をお聞きすると、以前そっくり同じ症状で来院された方がいらっしゃり、これはもしかしたら、こんな症状で悩んでいる方が他にもいるかもしれないと思い今月のコラムに取り上げてみようと思いました。

この方の症状は次のようなものです。

※ 体がだるくて、重くてどうしようもない。
※ 肩が異常にこって、目の奥まで痛くなる。
※ 頭痛もたびたびでる。
※ めまいがする。時には吐き気もする。
※ タイルが気持ち悪い。
※ 階段が怖くて手すりにつかまらないと上り下りできない。
※ 本など活字を見るのがいや。
※ 気力が無く、外に出るのがいや。
※ TVも見ると気分が悪くなる。
※ かわいい孫が遊びに来てくれても、うっとうしくなってしまう。
※ お医者さんをはじめ、あちこちいってみるのだけれど、どうも違うような気がする。

この方は、首に神経ブロックをしたり、筋肉を柔らかくするお薬を投与されたりしたのですが、解決できなかったようです。

以前いらっしゃった患者さんは、ホームドクターに「いいですか、これは西洋医学ではだめです。整体のようなものをして御覧なさい。あなたの場合精神科に行ってもだめですよ。」と忠告されたまたまご近所の方が当院に来ていらっしゃったので、紹介されておいでになりました。

こういう症状はいろいろ検査しても何も異常が出てこないため、最終的に心療内科や精神科を勧められることが多いのです。

わたしがこの方たちの体を見ますと、本当に首から足先までばんばんで、足などは丸太のようです。ちょっと触った感じは普通の肩こりの人のようなのですが、頑固に固くなった筋肉が体のあちこちにあります。これらの硬さはちょっとマッサージしてもらったくらいでほぐれるような代物ではないばかりでなく、普通では硬さを発見されないような場所が固くなっていたりするのです。もちろん体の歪みもあります。骨盤がねじれているような感じになっていたり、うつ伏せで寝たときの左右の足の向きが違ったり、頭蓋骨が頚椎に水平に乗っていなかったりするのです。しかし、この方たちくらいの歪みは、来院される方たちは多かれ少なかれ持っています。他の方と同じような状態でも、出ている症状は全く違うのです。「このくらいの肩こり、わたしだってあるわよ。」と言う問題ではないのです。同じぐらいの歪みやコリを持っていても、人によって辛さや症状が全く違うということです。ただ私の経験では、首から足までバンバンになっている人は、症状が重い人が多い傾向にあると思います。つまり、どちらかというと心療内科や精神科の受診を勧められるような症状になりやすいと言うことです。ところが上記に上げたような症状も、ばんばんな硬さをとってあげ、あちこちにある頑固に硬くなってしまっている筋肉を根気よく丁寧に弾力性のある正常な筋肉の状態にしていくと、体の歪みがとれ、背骨の曲がりも改善され、だんだん健康な状態になっていくのです。体がだんだん健康状態になっていくと、不思議なことに、ほとんどの方が、笑顔が出るようになり、物事の捉え方がプラス思考になり、行動が積極的になります。

「健全な精神は、健全な体に宿る。」という言葉は本当です。これは決して「体の悪い人は健全な精神ではない。」という意味ではなく、「健康状態が良くないと、精神状態を良く保つのが難しい。」と言う意味なのです。もちろん大変な病気をしながらも、常に精神状態が安定していて、周りの人への気遣いもできるすばらしい方はいっぱいいらっしゃると思います。でも、そういう方はものすごい方です。なかなかそういうふうにはなれないものです。ですから、先ず御自分の健康状態が少しでもいい状態になるよう努力することは大切なことです。

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