「だめもとで言ってみる」

昨日みえた患者さんが主訴を言ったあと、恐る恐る「これは全然関係ないかもしれないんですけれど、指が腫れて痛いんです。原因は全然わかりません。昼間ヨガをして、夜寝たら腫れて痛くなっていたんです。」と言って、左手の小指を見せて下さいました。第二関節(指先から数えて2番目の関節)が腫れていました。
「Sさんに昨日会って、指が2週間くらい痛くて、少し痛みは治まったんだけれど、お医者さんに固定していたほうがいいと言われて、固定しているの。」と話したら、「明日整体に行くんでしょ。だめもとで先生に言ってごらん。大抵大丈夫だから。」と言われたんです。との事。
Sさんというのは、この患者さんを紹介して下さった方で、Sさんも、何回か、「これは先生の範囲ではないかもしれないけど・・・」と言っていろいろなことを訴えてきたことがあったのです。
私は万能ではありませんし、「なんでも任せて」と言えるほど大した技術があるわけではないのですが、症状を見ると「もしかして、これも筋肉の問題ではないかなぁ。」と思う事がたくさんあるのです。
今回の場合も、慎重に痛みの場所を調べると、骨に異常があるわけではないようなので、第二関節に遊びをつけるように動かしてみました。こういう状態のときは大抵間接に遊びが無くなっているのです。
「少し痛いかもしれませんか、できるだけ優しくしますから、少し我慢してください。我慢できないときは、言ってくださいね。」とあらかじめお断りして、関節に可動域をつけてあげると、痛みがほとんどなくなってきたのです。多分ほんの少し、レントゲンでは「この位の位置関係は普通」という範囲内のわずかなずれが痛みと腫れをもたらしたのではないかと考えられます。人の体って、本当に繊細で、緻密で、驚きや感動を与えられることがたくさんあります。

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