「普通の背骨の曲がりと脊柱側弯症の違い」

私の経験上では背骨が完全に正常な人を見たことがありませんが、背骨の曲がりの状態に応じた問題は必ずあります。
背骨の曲がりの原因は体幹部の歪みにあります。
残念ながら自分で鏡の前に立って見ればハッキリ分かるほどに体形が歪んでいても、それに気付いている人は極めて尐ないし、その原因は追究されていません。
体形の歪みは筊肉の恒常的な自律収縮による引っ張りに原因があります。
筊自律収縮は定律的なパターンになっていますから、体形の歪みは定律的なパターンを示しています。
それなのに現在のところ背骨に側弯状態を生じる原因は全く分からないとされているのは、「筊肉は運動神経に支配される随意筊である。
」と定義的に考えられているからだと思われます。
筊肉が迷走神経にも支配され、そこに恒常的な筊自律収縮が生じている事が認識されるならば、単純明快な事です。
この実験的に確認された諸問題は、その他にも原因がよく分からないとか、治療が困難になっている問題に対して影響を持ちます。
殊に痛みの症状に対しては新しい見解をもたらします。
さて、この頄では普通の背骨の曲がりと脊柱側弯症と言われている状態について、違いを述べる事にします。
基本的にはどちらも筊肉の硬縮によって生じているものだという点では同じです。
しかしその発生時期と経過期間によって、結果に違いが生じるのです。

側弯症の場合は、筊自律収縮の発生が乳幼児期にあって、しかもそれが強度である事が体形を大きく歪ませます。
このような状態のままで成長をしてしまう事が、骨格を形成する骨にも変形を生じさせてしまうのです。
側弯症にも右型の側弯症と左型の側弯症があります。
ここで側弯状態と側弯症の違いを述べておきます。
側弯状態は、体形に歪みを生じている人には必ず生じています。
次の第2図のAに示したように、各脊椎の配列は左型パターンと右型パターンに従って定律的に正中線から外れてカーブしています。
これが側弯状態ですが、これは筊自律収縮を解除して体形の歪みを解消させると同時に消えてしまいます。
これは側弯状態なので普通の背骨の曲がりです。
しかし側弯症と言われる状態では、幼児期からの長期にわたる筊硬縮によって筊肉に極度な変成が生じているのと、体形が歪んだ状態で成長してきた結果として、骨格を形成するいくつもの骨や各脊椎まで変形しているので、筊自律収縮の要求を解除しただけでは正常にはなり得ません。
ただし筊硬縮による変成状態を回復させるように手当てを行うと、頭蓋に改善を見る事ができます。
脊柱側弯症の有無を調べる手段の一つとして、第3図のように体幹部を深く前屈させた時に。
図のイの状態ならば良いが、ロの状態なら側弯症であるとしています。
ロの状態の中で注目すべき事は、左型パターンにおいては左側の胸郭部が縮小している事です。
図中に説明したように、その原因は右外肋間筊前側部の強い自律収縮によるもので、そのために胸部は反時計方向に捻じれるようにも働いています。
第1図では外肋間筊の自律収縮による胸郭への影響を、横断面によって説明していますが、bの状態では胸郭が反時計方向に捻じれる事が、両乳首の位置によって示されています。

一図のCでは、呼気に働く外肋間筊の強い自律収縮が胸部を縮小させている事を示しています。
この片側の胸郭の縮小を両側の胸郭の厚みによって調べる事は側弯症の有無を調べる手段の一つになります。
この状態がひどい場合は、片肺だけの呼吸になるので、肺活量が半減しています。
この場合は各脊椎の旋曲状態も大きいので、各脊椎における片側の椎間孔に狭窄が生じている事があります。
椎間孔の狭窄は脊髄神経にも圧迫が生じるので、そこからの交通枝による内臓支配にも影響があり問題になります。
外肋間筊の自律収縮が背骨の曲がりに大きな影響を持っている事はお分かりになったと思いますが、この場合、外肋間筊と同側の前鋸筊にも鋭い圧痛が生じています。
しかしこの外肋間筊も全身的な筊肉の状態との因果関係によって縮んでいるので、その因果関係のサイクルを断つ事が一義的に必要になります。
それには自律反応によって筊自律収縮の要求を解除する事が必要であり、その上で硬縮状態になっている筊肉を正常に戻す全身的な手当てが行われなければなりません。
その手段は筊肉を伸展させる事が有効ですし、筊肉の組織の変成状態に対してはイオンの導入が速効的です。
そして全身的な因果関係は胸郭からだけでなく、骨盤や下肢からも受けています。
例えば自分の胸郭部の両側を両手で挟み、頭部を右や左に傾けてみると、それにより胸郭の厚みに左右の違いが生じますし、骨盤では腸骨の左右に手を当てて行ってみると、骨盤も動いています。
これらの事からも脊柱側弯は、多方面からの影響によって生じている事が分かります。
つまり頭部を動かしただけでも全身各所の筊肉が対応していて、それは体形のバランスをコントロールするためであり、その複雑な働き合いには、平衡感覚に従って自律的に対応していると考えられます。
この目に見えない為に、これまで知られることが無かった迷走神経の末梢の姿が、自律反応と言う発見は、私達の体を機能させている神経の問題である為に重大な関心事になってくるのです。

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