昨年の終わり頃、ある患者さんの紹介で中学二年生の女の子がお母さんに連れられて来院しました。頭痛と両肩から背中にかけての痛みで朝起きられず学校にポツンポツンしか行かれないということでした。
冷え性でもあるようです。
検査をしても何も無かったとのことでした。
首周辺はどこを触っても痛がり、肩の可動域が少なく、動かすと痛がります。
体全体の筋肉に弾力が無く、気力が無くなっている感じでした。
脊椎も細かくあちこち曲がっていましたが、特に頸椎の曲がりがかなりありました。
わたしはこのお嬢さんの体がどういう状態かをお母さんに説明しました。
そしてお母さんには待合室で待っていただき施術をしました。
私は施術をしながら患者さんとおしゃべりすることがよくあります。
このお嬢さんにもいろいろお話しましたが、お子さんがいらっしゃったときにはいつも「お母さんやお父さんに感謝しなさいね。
普通は子どもが訴えても、『何言ってるのよ子供のくせに。』で済まされてしまうことが多いのよ。
ご両親があなたの訴えを真剣に心配してくれたから、ここに来られたのよ。
ここで治療をしたくても、両親が無関心だったら来られないもの。」というような話をします。
それでこのお嬢さんにもそんな話をしました。
でもそれは私のいつもの癖のようなもので、そんなに気にしていなかったのですが、後日、そのお嬢さんを紹介して下さった方が来院されたとき、こんなお話をされびっくりしました。
「先生があの子に『両親に感謝しなさいね。』と言ってくださって、いろいろお話して下さったのが、あの子に、気力を呼び戻してくれて、治療の後お母さんに『お母さん心配してくれてどうもありがとう。
私しっかり治療をしてみます。』と言ったのだそうです。
それまで親に『ありがとう』なんて言ったこと無かったし、前の病院でとても嫌な思いをしていたので、もう治す気力が無くなっていたのに、治療をしてみようという気持ちにもなってくれたと、お母さんがすごく喜んでいました。」と言われました。
なんて素直で素敵なお子さんなんでしょう。
今まで何人ものお子さんに同じようなことを言っていますが、こんな風に素直に親に感謝したお子さんがいたのかどうか疑問です。
今回の事はたまたまお母さんが私の患者さんにお話をして下さったのが私に伝わってきたので、ラッキーな事だったのかもしれません。
でも、そのお子さんに素直さに涙が出るくらい嬉しく思いました。
子供の治療は親次第なのです。
親が真剣に子供の訴えに耳を傾け、子供と一緒なんとか治そうという気持ちが無いと、治療は続けられません。
親が私の治療を受けているお家は逆に親が心配して連れてくるケースがあります。
こういう場合はお互いに信頼関係ができていますからとてもやりやすいのですが、親(特に母親)が私の治療を受けていない場合は子供が治療を続けたいと思っても、金額的なこともあって続かないことが多いのです。
そんな時、いつも私は悔しい思いをします。
解決策があるのに本当に必要なことをしてあげられない空しさを感じます。
そういう事の方が多いので、今回のこのお話は、私に「頑張らなくちゃ。」という気持を湧きあがらせてくれました。
「どうもありがとう。」って私の方から言いたいです。