「ある患者さんの場合」

昨日腰痛で来院された患者さんの話です。

施術が終わり、ベットから机まで歩いていらっしゃったのですが、体を傾け、足を引きずるようにして、腰痛をかばうような変な歩き方をしています。
まだ完全ではありませんが、そんな恰好をするほど悪くない筈なので、おかしいと思い、
「まだ腰が痛いのですか?」とお聞きしたところ

「いいえ。痛くないです。」
「じゃあ、どうしてそんな恰好で歩いていらっしゃるんですか?」
「また痛くなると困ると思って。」
「ちょっと、普通の姿勢をして普通に歩いてみてください。痛いですか?」
「いいえ。なんともありません。」
「痛みが無いのなら、正しい姿勢で普通に歩いてください。痛くもないのに変な格好をして歩くことは、重心のバランスを崩すことになり、ご自分で腰痛製造機になる可能性もあるのです。もう一度普通に歩いてみてください。歩けますか?」
「普通に歩けます。」
「では、普通に、重心が中心に来るように歩きましょうね。」

普通にこれをお読みになる人は不思議に思われると思います。
痛くもないのに、わざわざ悪い恰好で歩くなんてと思われると思いますが、長年腰痛に悩まされている方は、どういう格好をすればその痛みを軽減できるかという事を、体が覚えているので、本人が意識しなくても痛みをカバーする姿勢になってしまうのです。
笑えない話です。

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